夢の続き


夢の続き

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今から36年も前の話だ。ぼくは初めてのライカであるM4-2を新品で(並行モノだったが)購入した。当時新品で買えるライカはすでにカナダ製であった。レンズはSUMMICRON 35/2を同時に揃えた。
50じゃなくやはり35mmが好きだったしファインダーもちょうど35の枠がビシッと見えたからだ。
ところがこのレンズ、カメラに装着するとピント指標が斜めに来る。真上に来るのがMレンズなのだが、
この個体は製造不良だったのだ。そんなことがあり得るだろうか?驚いたのはカメラ店の店長さん。
「いやいやこんなことは初めてだ。申し訳ない」なにせ並行モノとはいえライカは新品なんかいつ入荷するかわからない。
「申し訳ないけど、こっちのレンズで我慢してもらえないだろうか」と渡されたのがやはり新品のSUMMILUXの方。
当時のSUMMILUX 1:1.4 35mmは開放でのボケボケが不評でSUMMICRONの方が人気があった。
値段はSUMMILUXの方が高かったが同じ値段でいいという。仕方ないので、絞れば一緒だろうと納得して購入。が、どうだろう。1.4の開放の味わいったらたまらなかった。当時、試写した一枚目、カメラ店店員さんのシャツ、
見事にオックスフォード地の柔らかさがなめらかに描かれて驚いた。質感って写るのか。

その後長年に渡りずっと愛用している。カメラはいま、M4になったけど。
しかしフィルムでの使用はほとんどなくなり、デジタルカメラでPanasonicのマイクロフォーサーズで使った。
焦点距離が倍になってしまうがそれなりに遊べた。その後FUJIFILMのXになりちょうど標準としても使えた。しかしどうせならフルサイズで使いたいのだ。そうなればLeicaのデジタル…は無理。そこは選択不可能。
ということでやっとNikon Z 6で日の目を見たのだ。開放での絶望的な周辺落ち(大好きです)、距離感。
ああ、35mmだ。帰ってきたぞ、おれの距離感が。35mmで育った自分の焦点距離にはこの感覚こそが写真だ。

これでしばらく眠っていたライカレンズたちが活用できるだろう。初期型沈胴ズミクロンもクセ玉ズマリットも。
こうして見るとNikon Z 6はけっこう小さいね。いや、実際小さいんだけども。

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コメント

  1. 6x6 より:

    壮大な話です。Mマウントなのにズミクロンがずれてしまう。それが結局、ズミルックスと交換になる。しかも今では高価で人気のあるズミルックスも当時は開放のボケの癖が強すぎて不人気だったのですか。
    30年以上使い込まれたレンズは風格が凄いです。そういう何十年も使い込んだレンズを持っていないので、憧れます。初めて使った一眼レンズ、ペンタックスのタクマー55mmを取っておくべきでした。
    しかしレンズって高いものですけど、30年以上前、もっといえば50年以上前のレンズが使えるのだから驚異的ですね。
    >ああ、35mmだ。帰ってきたぞ、おれの距離感が。35mmで育った自分の焦点距離にはこの感覚こそが写真だ。
    師匠の35mm愛が伝わってきます。僕も影響を受けて最近は35mmに首ったけです。X-PRO2の光学ファインダー、35mm枠が小さいんですよね。あれだけが残念(その分、50mmは良い)。
    追伸:ズマリットのフード、こうやって付いている姿、初めて見ました。格好良いです。

  2. ariari より:

    >
    6×6さん
    ライカについてはど素人だったんですが、当時行きつけの写真屋さんに出入りしていた有名なライカ使いの方が色々教えてくださいました。ズミルックスは本当はいいレンズだぞ、とかクセはあるけどズマリットもライカらしいレンズだよ、などなど。
    ニコンでも35から始まり、今もそのレンズは手元にありますが、徹底的に単焦点の距離感を叩きこみましたね。ズームでもきちんと焦点距離に応じた間の取り方を心掛けています。
    確かにX-Proシリーズはちょうど35の枠は中途半端なんですよね。M4だとジャストなのですが(笑)。
    ズマリットのフードはオークションで買いました。どうしても欲しくて。しかしずっしり重くてびっくりしました。ただでさえ重いズマリットが更にずしんときます。

  3. atCommA より:

    そうっすよね、フルサイズで使いたい…あぁ、三枚が三枚とも、目に毒。

  4. ariari より:

    >
    atCommAさん
    そうですね、フルにはフルの理由があって。普通に町スナならXで全く問題なしです。

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