

以前から、そう、もう何年も前からNikonのサイトにある「ニッコール千夜一夜物語」を読んでいて、最近は見る余裕もなかったなと思って読み耽るとおもしさて時間を忘れてしまいます。
レンズの蘊蓄を設計者の視点から語るので、レンズの構成やガラスの種類などについても勉強になるのが必至で、やはりレンズの歴史は描写の何を大切にしているのか、焦点距離や明るさを変えると写真の何が変わるのか、よく理解できます。
設計者の苦闘や遊び心、個性やその時代背景、求められるものが違うなど、様々な事情が絡み合い生み出されたレンズの楽しさが伝わってくる。ライカやツァイスも素晴らしいレンズを作り続けてきた企業だけど、日本にはNIKKORあり、と言わしめるものがあります。
久しぶりに読んだら旧い300mmのレンズについて興味深い内容だったので、ふと「あれ?このレンズウチにあるんじゃないか?」と思って探したらすぐに見つかった。もう数十年前に頂いたもので、やはり旧い200mmと一緒に出てきた。確か二本頂いた記憶がある。ただ最初期のレンズで、当時ぼくがメインに使っていたカメラでは露出計も連動できなかったのだが、後にデジタル一眼レフを買っても、そもそもこのタイプは装着すら出来ない構造だったので使用する機会がなかったのだった。
記事の作例もZを使う時代になったのだな、とマウントアダプターを噛ませればこのタイプも装着できるよね、と試してみたら望外に好みの描写だった。元々旧いレンズはせいぜい中望遠くらいまでが味わう限界だろうと決め付けていたのです。300mmは鉄道や飛行機などに使うケースが多い自分では、旧いレンズではあまり意味がないかもと思っていたのが間違いだった。手が届かないもの故の引き寄せる間合いに潜む空気やレイヤーが見事に表現されている。現代の抜けがよくてシャープな玉では出てこないだろう。50年以上も前のレンズだが、使えるというのもいいモンですね。


しかし、悔やまれるのは札沼線の於札内駅に着いたキハ40を撮ればどんな風になったろかと思って後悔しているのです。出来れば晴れではなく湿度がある曇りの時に試したかったな。
望遠でスナップという選択を新たにできる、また町歩きにも楽しみが増えてきました。
