



深浦に来てよかった。それは、この旧煙草屋さんに巡り会えたことだ。
ぼくにとっての煙草屋さんこそ町写真を撮るきっかけでもあるからだ。
6×6さんのブログで紹介されていた、太宰治が投宿していた旅館の前の煙草屋さんだ。
ああ、ここだ!心踊る中には素晴らしいショーケースが。
同行の友人が「せっかくなので、撮らせてもらいましょうよ」とお店へおじゃまする。
快く撮影を許諾いただき、タバコだけじゃなく雑貨も扱っていたという旧商店を拝見。
すると意外なお話が。
「うちのお祖母ちゃんは太宰治にハガキを売ったんですよ」
え!!なんと!!お祖母ちゃんは太宰治だというのはすぐにわからず写真を見て「この人だ」と。
6×6さんの推察通り、あの丸ポストから太宰治は手紙やはがきを投函していたのだ。
もしかすると川端康成に「芥川賞をくれ」と懇願した書簡を出したのかもしれない。
なんと浪漫溢れる話ではないか。推察が確証に変わった時の、この喜びは望外だ。
つい長々話をしてしまい列車の時刻が迫り来るので、早足でお店を後にするのだった。
コメント
おお、一枚目で「来た!」と思いましたが、さすが!!
内部も撮らせて頂いたのですね。僕も撮りたかった。お店の人にお会いできなかったのも、探し出す行動力に欠けていたのも、これまた必然で、次の機会ですね。
自分の心が純粋に澄みわたり、建物や町並みに対するリスペクトがきっちりしたものであれば、しかるべき出会いがあるものだと、師匠から教わった鉄則を最近は痛感しております。
それにしても2枚目、良いなあ・・・・・。ここで買った煙草を向かいの旅館の窓際でプカプカしながら、書簡を書いたのでしょうね。
6×6さん
6×6さんのあの記事のことを思い出して感激しました。ああ、ここだ!って。
今は営業していないのに、快く撮影させていただいたこと、お話を伺えたこと、ありがたかったです。
お話を聞けるというのは本当に生々しくて、当時のことが蘇るような思いです。
「語り部」というのは大切ですね。解説してある看板などより絶対にいいんです。
町歩きで一番いいなと思うのは、会話ができたことにつきます。写真はその副産物です。
太宰治が見えるような気がしました。雨の日はため息つきながら窓の外を見て…かな。