一応夜桜の弘前 -3-(終)

そろそろ時間もなくなってきて帰らねばならない時刻が迫る。ああ、弘前よ。おれは帰ってきた(一年ぶり数十回目)。九分散りのはずなのにいつもの場所から見れば、あれ？満開か？？と思うほどの美しい夜桜である。実は花も少し残っているが、あとは「咢(がく)」なのだ。弘前の桜はボリュウムがすごいので、散っても咢があるうちはライトアップされれば赤く浮き立つのである。よく見ればスカスカだし、近寄ればバレる。でも、こうして望遠で離れて圧縮するとけっこうイケる。あの橋の上も人が少ない。圧倒的に花見客はもう少ないのに映える。そこが弘前なのだ。妙にひとりで頷いて帰るのだ。うんうん、いいよ、弘前。