モノクローム(白黒)をシミュレートする


モノクローム(白黒)をシミュレートする

デジタル時代のモノクロはどうあるべきか。
単純にカラー情報を破棄するグレースケールでは、なにか違う。
そういう場合での絵作りについて色々試してみようと思います。

長くなりますので続きは…↓

モノクローム(白黒)をシミュレートする

なんとなく、メリハリのない絵になるかと思います。
が、これでは好みの絵にはならない可能性があります。

そこで、フィルム時代を思い出し、イエローのフィルター(Y2)をシミュレートします。

モノクローム(白黒)をシミュレートする

右の建物の屋根は青系等なので、イエローフィルターで青系の波長をカットし屋根の色が濃くなりました。

次に赤色のフィルター(R1)をシミュレートします。

モノクローム(白黒)をシミュレートする

さらにコントラストが上がり、赤色系の透過率が上がるので左の赤い屋根は明るくなります。

このように白黒でも色の波長をコントロールしてやらねば思った効果が得られません。
実際のモノクロ(白黒)フィルムは単純に光の強さだけに反応しているのではなく、色域にも感じています。
その昔のフィルムは青系の色域にしか感光しませんでした。白黒用の感材であるハロゲン化銀がその特性だからです。
それゆえに、モノクロフィルムでもオルソ、パンクロ、レギュラーなどの種類がありました。
パンクロはぼ可視光領域に感度がありますが、様々な色を感じる有機化合物をハロゲン化銀に吸着させているのです。
つまり白黒フィルムでも色の波長を嗅ぎ分けている、ということがお分かりになると思います。
富士フイルムの現行品ACROSをシミュレートしてみましょう。

モノクローム(白黒)をシミュレートする

コントラストが適度にあり、中間のトーンも出てきます。また粒状性もシミュレートしていますので、
階調のつながりも良いです。粒子というのは意外にもあったほうがトーンに影響を与えるということです。
なお、モノクロフィルムACROSの分光曲線はこちらを見ていただけると参考になると思います。

こちらはコダックの400TX(Tri-X)をシミュレートしてみました。

モノクローム(白黒)をシミュレートする

コントラストの強い絵になっているのがおわかりかと思います。
また微妙に感光する波長域もACROSとは異なりますね。
データシートはこちら

以上のように、単純にモノクロ化するというのは非常に難しいことがおわかり頂けたかと思います。
なのでカラー情報のないRGBフィルターを備えないモノクロ専用のデジタルカメラでは、思った絵にならないこともあるよ、ということです。

そしてラストはILFORDのHP5をシミュレート。周辺減光もちょっと足して好みに仕上げます。
粒状性もシミュレーションしていますが、なかなかいい雰囲気に仕上がっています。

モノクローム(白黒)をシミュレートする

カラーのRAWデータからモノクロへされる場合は色域のチャンネルをいろいろ変えてみてください。

コメント

  1. ろだごん より:

    RGBフィルターなしを使ってます(笑)。フィルターありも使ってます。
    使うレンズと現像(Lightroom)の時にかけるフィルターによって、フィルターなし機でも中間調がそこそこ出ます。同じマウントのフィルターあり機のRAWファイルを現像した時の方が中間調がきれいなのはおっしゃるとおりです。
    違いは、フィルム+紙焼きで言うと前者がトライX+D76(1:1)+3号フィルター、後者がアクロス+ミクロファイン+2号フィルターといった感覚。
    ある程度の部分はLightroomがきれいにフォローしてくれます。
    元々TX派だったので今のところは階調に不満はなくプリント全体の濃度だけが悩みの種です。
    きれいな階調はフィルムのみ出せると思ってますので、ここぞと言う時はフィルムで対応してます。

  2. ariari より:

    ろだごんさん
    買ったんですか!ふわー。それは…
    モノクロームフィルムの再現性には相変わらず素晴らしいものがありますが、
    階調の豊富さでは富士のXがやはり抜けてます。デジタルの苦手なのはハイライト
    のトーンですが、X-Pro2ならブローニーのモノクロ並みになりました。
    フィルム使いたいんですがね、コストがキツイです。ペンタ67で撮りたいけど…
    悩みどころです。

  3. ろだごん より:

    こんにちは。新同品でした。はい。
    購入はあきらめてたのですが、(お金はないけど)チャンスがあって、縁あってうちに来ました。この歳で親から借金して購入しました (^0^;)
    地図写真機さんのハンコだけ押されていて、登録もまだされていません。
    縁はないだろうなと思い、予約したX-Pro2も未開封で持ってますが、借金返済のために売ろうかと思ってます。が「ブロニー並みの・・・」と言われると使いたくなります。
    フィルムのコストは高いし、即日仕上げしてくれたラボは急に廃業・建物解体という状態になり、フィルム衰退を日々実感しています。

  4. ariari より:

    ろだごんさん
    お金があれば一台手元においておきたいものです。カラーのLeicaは買わないと思うけど…
    でもですね、やはりRGBフィルター通したモノクロは美しいです。
    X-Pro2は逆立ちしても買えませんが、欲しいもんです。
    ぼくが尊敬する写真家たちがXになっていてちょっと驚きです。
    特にアジア圏の勢いのあるフォトグラファーはXへの評価が非常に高いです。
    あと、この方。モノクロ特に美しいです。これ見たら、もうフィルムじゃなくてもいいなとさえ。
    http://jonasraskphotography.com/2016/03/27/tourists-and-residents/

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