
写真の講師としても、仲間からもよく聞かれることがあります。
「あまりにも身近すぎるものは撮れない(撮りたくない)のです…
やはり旅に出なくちゃなりませんかね?」
ぼくが修行の身であった頃、師匠の宝田久人氏に「旅は日常、旅行は非日常」と一言だけ云われた。
「旅なんてものは日常のしがらみとか、色々なもん抱えてゆくに決まっているんだよ」
そんな気がしたんだ。営みを持っていくのが旅なんだろう。
いいことも、わるいことも全部ね。
たとえぼくらが旅先に選んだ場所であっても、そこの方々にとっては身近な営みの地であります。
だからカメラを持ってその空間に分け入って入ることは異端者である。
ただし、営みだけをコツコツ拾い上げ、地元のお店へ入り話を聞いたり、ときにはお手伝いをし、
はたまた祭りにまで参加しちゃったりすれば、そこへ馴染む瞬間もある。
そうすれば、目の前にある普通でかつ普遍的な日常を撮る以外に術はない。
それを自分の住む土地でできないわけはない。ただの記録になってもかまわないのだ。
ただ「旅行へ行ってきました」とかいうアリバイのような写真をつらつら見せられるのはちょっとキツイ。
しかもなお、ご夫婦のおのろけ記念写真ばっかりだとしたら、それはもうアルバムを閉じてしまうだろう。
いや、それが悪い写真ではないのです。とてもいい記録写真になることは間違いない。
外国ではカメラを持って歩いていたら「You are photographer? or personal?」と聞かれるらしい。
つまりプロだろうと、アマチュアだろうというくくりでは判断されず、フォトグラファーなのだよ。
あるいは個人的に家族の記録などを撮っているのか?と聞かれるんだそうな。
とにかく、いい写真を撮りたければ「面倒臭いことをする」しかないのです。
身近だろうと、どこか既視感のない場所へ行くことも。おれは素人だからなんて関係なし。
プログだろうと、写真展だろうと、雑誌だろうと人の目に触れた写真はもはや撮影者の手を離れます。
そういう意味ではグダグダな写真は「なかなか出せない」のであります。
グダグダ云うけどね(笑)。なので、写真が撮れていない時は平気で更新サボするし、
見せたいものがあればドンドンだしますよ。制限取っ払ったからね (^^)
ただ、すぐに旧い写真は下がってゆくから、たまには下にあるカテゴリやバックナンバーも見てね。
気にらない画像はこれからドンドン消しちゃうけど(笑)。