さようなら、定宿。


さようなら、定宿。

青天の霹靂、とはこういうことを云うのだと思った。
まさか、まさか、この景色が、この風情が見納めになるなんて思いもしなかった。
悔しいとか残念とか、色々な想いを超えた感情が渦巻いてショックを隠せない。

さようなら、定宿。

さようなら、定宿。

さようなら、定宿。

さようなら、定宿。

さようなら、定宿。

さようなら、定宿。

さようなら、定宿。

さようなら、定宿。

さようなら、定宿。

さようなら、定宿。

ぼくが長い間愛して止まない岩手県花巻市の鉛温泉湯治部(昔は自炊部だった)の川沿い側にある棟が9月から取り壊されます。湯治部と言えばここ、と云われるほど趣があり、長い歴史がある部屋だ。70余年の歴史があるこの建物だけど、老朽化が激しく、とうとう取り壊しが決定。
立て替えるのかどうか、どうも言葉を濁されましたが、わかったのは「宿泊客の激減」ということ。自炊部と呼ばれていた頃は、近県から訪れる農家さんの長期滞在が多く、湯治を兼ねて多くの方で賑わっていました。ぼくが最初に来た頃は本当に「ここに住んでいる」というような方がいっぱいおられました。

しかし、最近はそう云う方も来られないほど高齢になられたのでしょうか。「安くて抜群にお湯の質もよく、趣がある」という温泉好きには受け入れられてきましたが、常連さんも今は少なくなったかなと思います。旅館部の値段に比べ部屋代が安いこともあり維持するのは難しいという判断は致し方ないのかなと思いますが、本当に無念の気持ちです。自分にとって「帰る場所」がまた失われます。
ぼくの東北ベース基地としても、とても重要な役割でしたし、震災の時は釜石からここへ長期に避難されてきた方もいました。悔しい。でも、多くの友人に知ってもらえたし、色々な方をお連れできたことも想い出です。

電話をすればいつでも「毎度〜〜!部屋はいつもの川沿いでいいね?ご飯は大盛りで!」・・・いつでも優しく迎え入れてくれて「ああ、帰ってきたなあ」という気持ちになれる宿。部屋へ着いたらまず豊沢川の流れを眺めます。水量が多いなあ、とか、あれ、今はずいぶん少ないかなとか。そして川の流れを聞きながら眠りにつく幸せ感。ありがとう、鉛温泉。ここから見えた景色を忘れません。

2013.8.22 岩手県花巻市鉛 鉛温泉湯治部

コメント

  1. いしのまきまき♪ より:

    ありがとう、鉛温泉・湯治部

  2. hiros より:

    僕は語れるほど泊まっていませんが、それでもあの景色や風情、全てが目に焼きついています。
    ありがとうございました。。

  3. i_nosato02 より:

    一度でしたが、泊まれたことがいい思い出になりました。
    ありがとう、鉛温泉。

  4. たいちょう より:

    また、ひとつ時代が終わるのか?
    残念・・・と言う言葉では足りない感じです。

  5. otokoyama1an より:

    結局この建物は一度しか目にすることができませんでした。
    でも逆に考えれば、あの時
    写真に残せてラッキーだったのかも。
    今は大阪にいる旧友と一緒に写った川べりでの一枚、かけがえのない宝物です。

  6. Amy より:

    ariiariさんのお気持ちを考えると・・・
    行ったことのない所なのに、写真から楽しませてもらいました。
    一本勝負のメンバーの方たちとの写真もありましたね。
    冬の窓の写真が忘れられません。

  7. ariari より:

    まきまき♪さん
    今日は日帰りで堪能しましたねー。もう一度くらいイケルか?

  8. ariari より:

    hirosさん
    あの合宿も、三重の帰りにお寄り頂いた時も、楽しかったです。
    忘れないですよ、あの時の語らいは・・・
    なんか悔しいというか、泣けます・・・どうしよう。

  9. ariari より:

    i_nosato02さん
    んですね。CommAさんとの合宿補習・・・懐かしい。
    無理して三泊してよかったと思います。
    CommAさんが聞いたら悲しむだろうなあ。

  10. kazu_hiro より:

    変なことを言うようですが、ある意味で羨ましいです。
    こうやって愛着がもてるのがです。
    僕は子供の頃から引越しが多かったので特定の場所には執着しないようにできてます。
    しかし「帰る場所」が無いってのは寂しいものだと思うようになってきてます。
    川の音を聞きながら眠りにつくって贅沢ですよね。
    僕の好きな温泉に長野県北部の野沢温泉ってのがあります。
    山の急斜面のあり温泉地ということでそこら中に水路があり、どこにいても水の音がします。
    それが心地良いのです。
     
     

  11. ariari より:

    たいちょうさん
    飛行機メンバーズもずいぶんお泊まり頂けました。
    それが自分にとって嬉しくもありいい想い出です。

  12. ariari より:

    otokoyama1anさん
    あの「屋根崩落!」の一報を頂きましたよね。
    ずいぶん前のことになった気がします。
    みんなの心に、忘れないでいて欲しいです。
    まあ、まだ営業は続けるんですけどね・・・なんかね。

  13. ariari より:

    Amyさん
    年を重ねると自分の好きなモノがどんどんなくなってゆく
    そんな寂しさを感じます。仕方ないのですが、そういうものかな。
    色々な想い出が甦ります・・・悔しいです。

  14. ariari より:

    kazu_hiroさん
    けして風光明媚な場所ではないのです。そこがいいんです。
    山間の集落にあるいい宿。安くて旨くて風情がある・・・
    そういう場所は、なかなか・・・自分が好きなエリアのベース、
    そういう意味でも重要な施設でしたから。
    まだ営業は続けますが、ちょっとなあと・・・

  15. hayasek より:

    一二五番を定部屋にしていた者です。
    本当に本当に寂しい限り。
    なにより、こたつとかファンヒーター代わりに愛用していた河鹿の湯がなくなったのは痛いです。
    先日行ったときはもう新館工事が始まっており、スタッフも少々変わるというお話でした。

  16. ariari より:

    hayasekさん
    検索いただいたのでしょうか。ありがとうございます。
    長い付き合いだったのでとても残念です。
    今年の正月までは何とか泊まれたのでいい思い出になりました。

  17. hayasek より:

    お返事ありがとうございました
    そうです、鉛湯治部川べり部が恋しくて恋しくて、
    検索してて見つけました
    私も撮りました、コーラのベンチ、火災報知器、「御手洗」の札。。老後はここで、と思っていた一二五番もたくさん。
    年数回、1週間とか2週間とかだらだら居続けてましたから
    お目にかかったこともあったのかもしれませんね。
    4月に行ったときはまだ建物は残っていたのですが、
    6月はいよいよなくなってしまっていて、次は7月に行きますが
    また変わっているのかもしれません。

  18. ariari より:

    正直、旅館部の二階のお風呂が壊された時点で…ダメだなと。
    昔ながらのいいお風呂の風情は白猿だけになりました。
    現経営者の判断ですから致し方無いとは思います。
    南温泉郷、唯一のすべてのお風呂が源泉掛け流しだっただけに。
    馴染みの番頭さんも引退され、なかなか足がむきにくいです。
    若いスタッフさんが頑張ってくれていますが。

  19. hayasek より:

    アトミック風呂、竜宮風呂・・・懐かしいですね
    ふだん「変わらないないものなど何もないさ」と
    豪語している私ですが、
    今回ばかりはいろいろとガツンと来ました。
    若いスタッフさんももう良いお年頃ですが、
    みんな大好きです、いい方向へ向かってくれることを願ってます

タイトルとURLをコピーしました